角館の武家屋敷通りを巡る
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江戸時代から続く武家屋敷が並ぶ 秋田県の角館町へ行ってきました⚔️ 角館の街は、当時角館地方を領していた芦名義勝によって造られたもの。その後の芦名氏断絶をうけて佐竹北家が入部し、秋田藩の所領としては一門筆頭の城下町を形成していたといいます。そんな角館を歩き、武士たちが生きた街の歴史に触れてきました。
朝 8 時前の飛行機で 大阪国際空港(伊丹空港) を飛び立ち、巨大な「なまはげ」のオブジェにお出迎えされながら 秋田空港 に到着。秋田空港からは 秋田エアポートライナー という事前予約制のバスが出ており、少し迷子になりながらも駐車場にて待機していたバスに乗り込んで角館を目指します。
秋田エアポートライナーは、秋田市内だけでなく田沢湖や玉川温泉、今回の旅の目的地である角館方面と、遠方から訪れた観光客の旅の起点となる秋田空港を結んでいます。秋田空港にやってくる飛行機の到着時刻に合わせて運行されており、搭乗する飛行機の便と行き先を入力して予約しておけば空港から目的地までをスムーズに移動することができます。
片道分の運賃である 4,500 円を現金でお支払いして、バスは秋田空港を出発。訪れたのが平日ど真ん中の水曜日だったので「乗客は私ひとりだけかな?」と思っていたのですが、私のほかには 4 人組の女性客がバスに乗車しており、ひとり旅で移動中にうとうととしてしまった私と違ってずっと楽しそうに会話をされていました。
関東の地名や駅名が聞こえてきたので、おそらく関東から旅行で来られたのでしょう。話し方がどこか上品な雰囲気だったのと、石川出身・大阪在住というずっと西日本で生活してきた人間からすると聞き馴染みのない関東の方言(?)ということもあって、なんだか NHK の連続テレビ小説でも見ているような気持ちになりました。
1 時間ほどかけて、バスは JR 角館駅 に到着。一緒に乗車していた女性の方々はこちらで下車していき、車内には私と運転手の方のみとなりました。当初は私も角館駅で下車しようかと思っていたのですが、予約時に選択できる降車場所の中に「田町武家屋敷ホテル」という場所があり、そちらの方が角館の中心市街地に近かったのでこちらを選択。駅を出てから一方通行の道を通って、ホテルの前まで送ってもらいました。
バスを降りた「田町武家屋敷ホテル」は、その名前の通り「田町武家屋敷通り」という武家屋敷通り沿いにある宿泊施設。角館には 2 つの武家屋敷通りがあり、ひとつは北側にある武家町(内町)にある武家屋敷通り、もうひとつが町人町(外町)にあるこちらの「田町武家屋敷通り」です。
一方通行のやや細めの道の左右には黒く塗られた板で造られた塀が延々と続き、その黒板塀の向こう側に植えられた立派な木々から伸びる枝葉が屋根のように空を覆っています。
内町にある武家屋敷通りとは異なり、田町武家屋敷通りは国の保存地区には指定されていないそうですが、落ち着いた雰囲気の通りを歩いていけばいくほどこの土地に暮らす人々が長年守り続けてきたものが感じられるような気がしました。
田町武家屋敷通りを抜け、各所に設置された「武家屋敷」の文字と矢印が記された看板を辿りながら南北に長い角館の街を北上していくと、信号のある交差点を渡った先に広場が見えてきました。これが武家町(内町)と町人町(外町)とを区分する「火除け」と呼ばれる場所で、ここから角館の武家屋敷通りが続いています。
現在でも木で造られた塀や建物が建ち並ぶ角館ですが、耐火構造が無かった当時は火災は最も恐れられていた災害だったそう。そんな火災への対策として整備されたのがこの「火除け」という空間だそうで、町人町で発生した火災が武家町へと延焼するのを防ぐ役割があります。
関ヶ原の戦い以降の大名配置換えによって秋田には佐竹義宣が入り、慶長 7 年(1602 年)にその弟であった芦名義勝が佐竹氏から 1 万 5 千石を与えられてこの角館を治めることになりました。元和 6 年(1620 年)に芦名義勝によって新しい城下町が造られ、その後芦名氏の後継者がいなくなってしまい断絶したことをうけて 佐竹北家 が入部してからもその街並みは守られ続けることとなります。
芦名義勝によって街が造られてから 400 年以上が経ちますが、街の形は大きく変わっておらず、特に武家町(内町)は道路の幅から曲がり角ひとつまでそのまま残っているのだとか。
火除けからさらに北へと歩いていくと見えてくるのが、そんな角館の街並み。道幅の広い武家屋敷通りの左右には先ほど歩いた田町武家屋敷通りと同様に黒板塀が並び、塀の向こう側からは見上げるほどの大きさの巨木が顔を覗かせます。
角館には 6 軒の武家屋敷が残っており、まず訪れたのはそのうちの一軒である「石黒家」という武家屋敷。石黒家は佐竹氏の家臣で、明暦 2 年(1656 年)に芦名氏断絶の後をうけて入った 佐竹義隣 に付き従って移住してきたのだそう。角館の武家屋敷の中では唯一、現在もなお直系の子孫家族が屋敷に住み続けています。
格式高い薬医門をくぐり、黒板塀に囲まれた屋敷内へと入ります。石黒家の武家屋敷は実際に中へ入って見学をすることができ、入館料金は 500 円。入館券を手に中へと入るとすぐにスタッフの方が話しかけてくださり、ツアーのように屋敷内部の案内や解説をしてくださいました。
現在も住居として使い続けられている屋敷ということで、公開されているエリアは屋敷全体の半分程度。障子の向こう側で現在の当主(13 代目)の家族が暮らしているとのことで、ただの観光施設ではなく、現在も生きていて歴史が続いているのだということを感じられました。
庭には、外からも見えた太くて大きな木が植えられていて、話によると樹齢 300 年以上のものだそう。どこの武家屋敷でも大通りから見えるように植えられているといいます。「みちのくの小京都」とも呼ばれる角館は、東北でも屈指の桜の名所だそうで、展示エリアには黒板塀をシダレザクラが彩る美しい風景の写真が飾られていました。春になると武家屋敷通りが歩行者天国となり、多くの花見客で賑わうのだとか。
今回は訪れたタイミングが春ではなかったので桜を見ることはできませんでしたが、せっかくなので角館出身だという写真家の方が撮影したという桜の絵葉書を購入しました。その際にスタッフの方とお話しさせていただいたのですが、私が石川県出身だということを話すと、石黒家がもともと越中(富山県)の出とされているということを教えてくださいました。なんだか急に親近感が湧いてきますね。
また、私は旅先から絵葉書を自分の家宛てに送るということをよくやるのですが、そのことを話すと「郵便局で風景印を押してもらうと良いですよ」と教えていただき、角館郵便局 から石黒家の写真の絵葉書を出してみました。恥ずかしながら風景印の存在を知らなかったのですが、家に帰って桜の形の枠に武家屋敷が描かれたスタンプが押された葉書が届いたのを見て、ものすごく「良いものだな」と思いました。
続いてやって来たのは「青柳家」という武家屋敷。芦名氏の家臣として角館に入った青柳家は、芦名家断絶後に佐竹北家に仕え南部境目山役を務め、主君の繁栄を支えた家です。入館料は 500 円で、現金のほか PayPay でのキャッシュレス決済にも対応していました。
敷地内は、夏が近づき少し暑さを感じる中に響き渡る風鈴の音がなんとも涼しげで良い雰囲気。多くの資料館があり、刀の展示がされているエリアでは実際に刀や槍に触れて持ち上げてみることができるという、珍しい体験ができるようになっていました。
また、安政 3 年(1774 年)に発行された日本最初の本格的な西洋医学の翻訳書『解体新書』の挿絵を描いたのが角館出身の武士で青柳家の親戚にあたる方だそうで、その小田野直武の像や解体新書についての展示がされている「解体新書記念館」も武家屋敷の敷地内にありました。
武家屋敷を見て回った後は、旅行には欠かせないグルメを堪能する時間。昼食を食べに訪れたのは かくのだ亭 というお店で、こちらで秋田発祥だという稲庭うどんをいただきました。稲庭うどんは日本三大うどんのひとつで、約 350 年の歴史があるのだそう。
注文した冷たい稲庭うどんのセットには、綺麗にまとまった艷やかな麺とつゆと薬味に加え、淡い赤色をしたおにぎりが 2 つとだし巻き卵、それから見慣れない見た目の漬物が付いていました。後から土産物売り場で同じ見た目のものが並んでいるのを見て知ったのですが、この漬物が秋田の有名な漬物「いぶりがっこ」らしい。
稲庭うどんは、麺が細くて平べったい見た目。一般的なうどんと比べると非常に細いですが、スパッと噛み切れるような感じではなく、しっかりとコシがありました。角館の街を歩いて火照った身体に、冷たくてツルツルとしたうどんが染みます。
続いてやって来たのは、武家屋敷通りのちょうど真ん中あたりにある 安藤醸造 の「花上庵」というお店。安藤家は江戸時代・享保の頃から角館に地主として住んでいた歴史があり、その副業として味噌や醤油の醸造を始めたのだそう。本店は町人町(外町)の方にあります。
中にはたくさんの味噌や醤油、漬物などが並んでいましたが、その中で気になったのが「みそマカロン」というスイーツ。味噌とマカロンという聞いたことがなさすぎる組み合わせで、実際に 1 つ購入して食べてみると本当に味噌の味だったのですが、味噌味で甘くてふわふわのマカロンはやたら美味しくて驚きました。
最後にやってきたのは あきたプリン亭 という、どこかレトロな雰囲気を漂わせるプリンのお店。武家町(内町)と町人町(外町)とを区分する火除けの南側すぐのところにあるお店で、武家屋敷通りへ向かう際にものすごい行列ができていたので気になっていました。
街歩き中に何度前を通っても行列ができていましたが、何度目かでたまたま人がいないタイミングに出会えたので、食べ歩き人気 No.1 だという「プリンソフト」を注文しました。淡い黄色のプリン色をした丸っこいソフトクリームの上にはカラメルソースと思われる茶色いソースがかけられ、味はまさにプリンの味。行列ができるのも納得です。
秋田の角館へ行ってきましたが、他では見られない重厚な黒板塀がずっと続いている光景に圧倒されました。塀の向こうから大きな木々が伸びていて、道に屋根を作っているのも長い歴史を感じられて大変良かったです。桜が非常に綺麗とのことなので、次は春の桜が見頃を迎える時期に訪れてみたいです。